THOUSANDS OF FREE BLOGGER TEMPLATES �
Affichage des articles dont le libellé est 日本語. Afficher tous les articles
Affichage des articles dont le libellé est 日本語. Afficher tous les articles

lundi 24 mars 2008

吹雪 ― 夜明げ ― まるめろ

(Furigana optimized with IE)


吹雪(フギ)


小共等(ワラハド)エ

早(グ)ぐど寝でまれ


ほらア!

あれア白い狼(オウガメ)ア吼えで

驅(ハ)ケで步(ア)りてらンだド

まぎの隅(スマ)がら

死ンだ爺(ヂコ)ド媼(ババ) 睨めでるド


小共等(ワラハド)エ

早(グ)ぐど寝でまれ


***


吹雪


子供らよ

さっさと寝てしまいなさい


ほら!

あれは白い狼が吼えて

駆け回っているんだぞ

屋根裏部屋の隅から

死んだおじいさんとおばあさんが睨んでいるぞ


子供らよ

さっさと寝てしまいなさい


☆☆☆


夜明げ


立小便(タツシヨベ)の音(オド)ア母親(オガ)だべネ


濃霧(ガス)の中(ナガ)がら父親(オド)ア

鱗(ウロゴ)だらけネなてもどて來たね


大漁だド!


***


夜明け


立小便の音がするが、あれは母さんだろうね


たちこめる霧のなかから父さんが

鱗だらけになって戻ってきたんだよ


大漁だぞ!



☆☆☆



まるめろ ―ふぢア死ぬ時(ドギ)の夢―


枯草の中の細い路(ケド)コ行たキア、泥濘(ガチャメギ)サまるめろア落(オヅ)でだオン。死ンだ従兄(イドゴ)アそこで握飯(ニギリママ)ば食てだオン。まるめろバ拾(フラ)ウどもても如何(ナンボ)しても拾(フラ)えネンだもの……


ああ故郷(クニ)モいま雪(ユギ)ア降てるべなあ。


***


まるめろ ―ふちが死ぬときの夢―


枯草の間の細い道を行くと、泥の中にまるめろの実が落ちていたのです。死んだ従兄がそこで握り飯を食べていました。まるめろを拾おうとしても、どうしても拾えなかったのです……


ああ、国でも今は雪が降っているだろうなあ。

彼女アあの日ネ ― 苗代の稲妻 ― 生活

(Furigana optimized with IE)


彼女(アレ)アあの日(シ)ネ


木の芽(モエ)コ取(ト)ネ行(エ)た路(ケド)コ

其處(ソゴ)ネ山鳩(ヤマバド)コア啼いで居だキヤなア

蕗コ取(ト)ネ行(エ)タ澤コ

其處(ソゴ)ネ郭鳥(カコドリ)啼いで居だキヤなア


彼女(アレ)ア始(ハシ)めで返事(ヘンツ)コした川端(ヘギバダ)コネ

野茨(バラ)の匂(カマリ)コアして居だし

彼女(アレ)ア言ふごと聞えだ松林(マヅバヤシ)の中(ナガ)ネ

鶸(シワ)コア啼いて居だキヤなア


ああ こたらだごとア みんな消(ケ)ががてるいま

東京(トウキヨ)の真中(マンナガ)でこの人通(フトド)り激し晩方ネ

俺(ワ)ネつぐづぐどわがて來たのア

彼女(アレ)アあの日(シ)ネ あの林コがら歸(モド)る途中(トヂユウ)

たんぽぽの花コバふむつり

ふむつり投げだ気持コだでばせナ


***


彼女はあの日


木の芽を取りに行った道

あそこでは山鳩が啼いていたよな

蕗を取りに行った沢地

あそこでは郭公が啼いていたよな

彼女が初めて返事をした川端では

野薔薇の香りがしていたし

彼女が言うことを聞いた松林の中では

鶸が啼いていたよな

ああ こういったことすべてが 消えかかっている今

東京の真ん中のこの人通りが激しい夕方に

俺につくづくとわかってきたのは

彼女があの日 あの林から帰る途中

たんぽぽの花をちぎり

ちぎり投げ捨てていた気持ちなんだよな


☆☆☆


苗代(ナシロ)の稻妻(イナピカリ)


蛙(ゲロ)ア啼いで苗代(ナシロ)サ稻妻(イナピカリ)あ光(シカ)て來たンども

彼女(アレ)ア未(マン)だ出はて來(キ)ねネ

終々(シメシメ)ネ雨ア降て來て俺(ワ)ジヨウジヨウどなてまたンども

此處(コツ)から何時迄(イヅマンデ)も動(エゴ)ぎたぐねデア


段々(ダンダ)と雨ア強(ツオ)ぐなて來たハデ

蛙(ゲロ)も啼がなぐなてまたし

夜ア更けで來たどメデ

彼女(アレ)の家(エ)の灯(アガシ)コも消(ケ)でまたデア


***


苗代の稲妻


蛙が啼いて苗代に稲妻が光ってきたけれど

彼女はまだ出てこないんだ

ついには雨が降ってきて俺はびしょびしょになってしまったのだが

ここからいつまでも動きたくないんだ


だんだん雨が強くなってきたので

蛙も啼かなくなってしまったし

夜も更けてきたようで

彼女の家の明かりも消えてしまったんだ


☆☆☆


生活(クラシ) ―結婚(シュウゲン)の晩(バゲ)―


あれア風(カジエ)ア吹いで

ドロの樹(ギ)アジヤワめでるんだネ

泣グな

泣グな

花嫁ア泣グ奴(ヤヅ)アあるガ

銭(ジエン)コねはで泣グのガ

なんだて こした貧ボくせい結婚(シュウゲン)せねばまいねのガ


(みんな飯事(オフルメコ)だど思れ)


痩へだ体コくつけでも

なんも温(ヌ)ぐぐねジヤ

ああ 俺達(オラダヅ)二人ア

日(シ)あだりぬすむ蠅コど同(オンナ)しだ

明日がらお前(メ)も紫(ムラサギ)の袴(ハガマ)コはいで黒いまんとコかぶて役所サ行(エ)グのガ

貧ボ臭(クセ)い婿(ムゴ)ど花嫁だ

泣グな

泣グな

なんも恐(オカナ)グね

あれア風(カジエ)ア吹いで

ドロの樹アジヤワめでるんだネ


***


生活 ―結婚式の日の夜―

あれは風が吹いて

ドロの木がざわめいているんだ

泣くな

泣くな

花嫁なのに泣くやつがあるか

お金がないからといって泣いているのか

どうして こんなに貧乏臭い結婚式を挙げなければならないのか


(みんなこれが祝言だと思ってください)


やせたからだをくっつけてあわせても

全然暖かくならないよ

ああ 俺たちふたりは

陽光をかすめとる蠅と同じようなものだ

明日からお前も紫の袴をはいて黒いマントを着て役所に行くのか

貧乏臭い婿と花嫁だ

泣くな

泣くな

何も怖いことはない

あれは風が吹いて

ドロの木がざわめいているんだ


煤けだ暦 ― 凶作 ― 海猫 ― 石コ

(Furigana optimized with IE)


煤けだ暦


姉サ嫁ネなて去(エ)た日(シ)ア

庭(ツボ)のぐみア真赤であたし

母親(オガ)サ死ンで去(エ)た日(シ)ア

濡雪(ヌレユギ)ア降てゐだんだド

父親(オド)サ死ンで去(エ)たのア

屋根の氷(スガマ)コア溶(ト)げかがてゐた時(ドギ)だし

吾(ワ)ア家(エ)がら出ハてしまつた晩(バゲ)ア

宵祭(ヨミヤ)の花火アあがてゐだネ


***


煤けた暦


姉さんが結婚していなくなった日には

坪庭のグミの実が真っ赤だったし

母さんが死んでいなくなった日には

濡れ雪が降っていたらしい

父さんが死んでいなくなったのは

屋根の氷が溶けかけていた頃で

俺が家を後にした夜には

宵宮の花火が上がっていた…


☆☆☆


凶作(ケガズ)


いまネも雪(ユギ)ネなるえンたこの冷(ツブ)て雨、そしてこの瘠へだ稻。

そイでもウルセ雀共(スズメンド)バ石油罐ぶただいで追(ボ)ネバまいネンだネ。

海ア時化(シケ)でるどメで海猫(ゴメ)ア群(アヅバ)て來て啼いでるジヤ。

親爺(オド)アガツホラどした顔(ツラ)して紡績(ボセキ)サ行た娘(アネ)の手紙バリ讀ンでるし、

母親(オガ)まだ畑(ハダケ)がら拾(フラ)てきた屑芋バ煮べどもても竃(ヘツツ)ア燃えネで燻(イプ)てグ

燐寸(トツケギ)だキヤもう無(ネ)んだジヤ

煙(ケブ)あ家(エ)の中サ一杯(ペ)ネなて赤子(ビキ)アギーギーて泣ぐし、まンだかちやくちやネイ晩(バゲ)ネなるんだべネ。


***


凶作


今にも雪になりそうなこの冷たい雨、それにこの瘠せた稲。

だというのにうるさい雀らを石油罐を叩いて追い払わねばならないのだよ。

海は時化ているらしく、海猫が集まってきて啼いているではないか。

父さんは間抜け面して紡績工場に行った娘の手紙ばかりを読んでいるし

母さんはといえば畑から拾ってきた屑芋を煮ようと思ってもかまどは燃え上がらずにいぶり

マッチはもうないのだよ

煙が家の中に一杯になって赤ん坊はギャーギャー泣くし、また今日も最低の夜になるんだろうな。


☆☆☆


海猫(ゴメ)


沖(オギ)ア時化(シケ)でホレ

魚(ジヨジヨ)ア獲(ト)れネんだド

母親(オガ)ドサ行(エ)たやだばシテ

居間(ジヨイ)で赤子(オボコ)ア泣いでさネ

らんぷコでもツケシネが


***


海猫


沖は時化ていてね

魚が獲れないんだってさ

母さんはいったいどこに行ったんだよ

居間で赤ん坊が泣いているんだ

らんぷでもつけたらどうだい


☆☆☆


石コ


すねくれだ心だデア

踏付(フンヅケ)られでも黙つてる石コ


じつとしてだら石コネなねべがな


めめづわぐえンた流元(ミジヤノスリ)の暮し


俺(ワイ)バあの空サ向(ムゲ)で投げる奴(ヤヅ)アネベがな


***


石


ひねくれた心だねえ

踏みつけにされても黙っている石とは


じっとしていたら石にならないものだろうか


みみずがわくような流しの下の暮し


俺のことをあの空に向けて投げる奴はいないものだろうか

dimanche 23 mars 2008

陽コあだね村 ― 風ネ逆らる旗

(Furigana optimized with IE)


陽(シ)コあだネ村 ―津軽半島袰月村で―


この村サ一度(イヅド)だて

陽(シ)コあだたごとあるがジヤ


家(エ)の土臺(ドデ)コアみんな
潮虫(スヲムス)ネ嚙(カ)れでまてナ

後(ウスロ)ア塞(フサ)がた高(タ)ゲ山ネかて潰(ツブ)されで海サのめくるえンたでバナ

見ナガ

あの向(ムゲ)の陽(シ)コあだてる松前(マヅメ)の山コ

あの綺麗(キレ)だだ光(シカリ)コア一度(イヅド)だて

俺等(オランド)の村サあだだごとあるがジヤ

みんな貧ボ臭せくてナ

生臭せ体コしてナ

若者等(ワゲモノンド)アみんな他處(ホガ)サ逃(ネ)げでまて

頭(アダマ)サ若布(ワガメ)生えだえンた爺媼(ジコババ)ばりウヂヤウヂヤてな

ああ あの沖(オギ)バ跳(ハネ)る海豚(エルガ)だえンた忰等(ヘガレンド)ア

何處(ド)サ行たやだバ

路傍(ケドバダ)ネ捨(ナゲ)られでらのアみんな昔の貝殻(ケカラ)だネ

魚(サガナ)の骨(トゲ)コア腐たて一本の樹コネだてなるやだナ

朝(アサマ)モ昼(スルマ)もたンだ濃霧(ガス)ばりかがて

晩(バゲ)ネなれば沖(オギ)で亡者(モンジヤ)泣いでセ


***


陽の当たらない村 ―津軽半島袰月村にて―


この村には一度でも

陽の光が当たったことがあるのだろうか


家の土台は全部潮虫にかじられてしまって

後ろの方はのしかかる高い山に潰されて海にのめりこむようではないか

見ろよ

あの海の向こうの陽が当たる松前の山

あんなにきれいな光がただの一度でも

私たちの村に当たっていたことがあるだろうか

みんな貧乏臭くて

生臭いからだをして

若者たちはみんなよそに逃げてしまって

頭にわかめが生えたようなじいさんばあさんばかりがウジャウジャしていて

ああ あの沖を跳ねる海豚のような息子たちは

どこに行ったと云うのだろうか

路傍に捨てられているものはすべからく昔の貝殻なのだ

魚の骨が腐ったらそれが一本の木になるとでもいうのか

朝も昼もただ霧がかかるばかりで

夜になれば沖で亡者が泣いているのさ


☆☆☆


風(カジエ)ネ逆(サガ)らる旗(ハダ)


檣の先コで ばためでる旗(ハダ)やエ

いま俺(ワ) 生(マ)れだ町(マヅ)バ捨てで行(エ)ぐんだ

雪溶(ユギド)げの風(カジエ)コア耳サ冷(ツブテ)ぐ

葉コ無(ネ)い柳の枝コア岸ネ震(フレ)でらネ

ああ其處(ソゴ)ネだキヤ 見送(オグ)る人(フト)の影コも見(メ)ねし

遠ぐネ寺の屋根コア光(シカ)てらネ

ああ俺(ワ)生(マ)れだ町(マヅ)!

それだキヤもう狭苦(クラ)しぐなてまた搖籃(イツコ)だネ

この愛想気(アイソケ)無(ネ)い町(マヅ)の顔(ツラ)バ見なガ

繼母(ママカガ)だキヤえネ嘲笑(アジヤワラ)てナ

ああ いまごそみんなバ捨(フ)てまるど思ふンどもなア

ばためぐ旗(ハダ)やエ!

自分の指コバ切(モ)ぐえンたのア

如何(ドシ)た気残りアあるやだバ


汽笛(ジヨウキ)ア鳴たジヤ

もうこれで みんな終(トツパ)たのせ

舳(ヅグ)ア廻はたら生(マ)れだ町(マヅ)サ尻(ケツ)向げでまたネ

沖(オギ)サ出はれバ風(カジエ)ア強(ツオ)ぐ

ああ ばためく旗(ハダ)やエ

ジヤワめぐ海サ

裂(ブチヤ)げで飛ばされでしまれ!


***


風に逆らう旗


帆柱の先で はためいている旗よ

いま俺は 生まれた町を捨ててゆくのだ

雪解けの風は耳に冷たく

葉のない柳の枝が岸に震えている

ああ、そこには 見送るひとの影も見えなければ

遠くに寺の屋根も光っている

ああ、これが俺の生まれた町なのだ!

俺にはもう狭くなってしまったゆりかごなのだ

この無愛想な町の顔を見ろよ

継母のような顔をしてあざわらっているじゃないか

ああ 今こそ全部捨ててしまおうと思っているのに

はためく旗よ!

どうしてこんな

俺の指をもぎとるような心残りがあるのだろうか


汽笛が鳴った

もうこれで みんなおしまいなのだ

舳が廻ると船は俺の生まれた町に尻を向けてしまった

ああ はためく旗よ

ざわめく海に

ちぎれて飛ばされてしまえ!

samedi 22 mars 2008

Transcription phonétique

陽(シ)コあだネ村 ―津軽半島袰月村で―

Shi-ko ada-né mura – Tsugaru-hantô horodzuki-mura-dé –


この村サ一度(イヅド)だて

Kono mura-sa idzudo-daté

陽(シ)コあだたごとあるがジヤ

Shi-ko ada-ta goto aru-ga ja


家(エ)の土臺(ドデ)コアみんな潮虫(スヲムス)ネ嚙(カ)れでまてナ

E-no dodé-ko-a minna suomusu-né karé-dé ma-té-na

後(ウスロ)ア塞(フサ)がた高(タ)ゲ山ネかて潰(ツブ)されで海サのめくるえンたでバナ

Usuro-a fusaga-ta tagé yama-né-katé tsubusa-ré-dé umi-sa nomékuru-enta-déba-na

見ナガ

Mi-na-ga

あの向(ムゲ)の陽(シ)コあだてる松前(マヅメ)の山コ

Ano mugé-no shi-ko ada-té ru Madzumé-no yama-ko

あの綺麗(キレ)だだ光(シカリ)コア一度(イヅド)だて

Ano kirédada shikari-ko-a idzudo-daté

俺等(オランド)の村サあだだごとあるがジヤ

Ora-ndo-no mura-sa ada-da goto aru-ga ja

みんな貧ボ臭せくてナ

Minna binbokuséku-té-na

生臭せ体コしてナ

Namagusé karada-ko shi-té-na

若者等(ワゲモノンド)アみんな他處(ホガ)サ逃(ネ)げでまて

Wagémono-ndo-a minna hoga-sa nigé-dé ma-té

頭(アダマ)サ若布(ワガメ)生えだえンた爺媼(ジコババ)ばりウヂヤウヂヤてな

Adama-sa wagamé-ko haé-da enta ji-ko baba-bari udjaüdja-té-na

ああ あの沖(オギ)バ跳(ハネ)る海豚(エルガ)だえンた忰等(ヘガレンド)ア

Aa ano ogi-ba hanéru éruga-da enta hégaré-ndo-a

何處(ド)サ行たやだバ

Do-sa i-ta-ya-daba

路傍(ケドバダ)ネ捨(ナゲ)られでらのアみんな昔の貝殻(ケカラ)だネ

Kédobada-né nagé-raré-dé ra-no-a minna mukashi-no kékara-da-né

魚(サガナ)の骨(トゲ)コア腐たて一本の樹コネだてなるやだナ

Sagana-no togé-ko-a kusa-ta-té ippon-no ki-ko-né-daté naru-ya-da-na

朝(アサマ)モ昼(スルマ)もたンだ濃霧(ガス)ばりかがて

Asama-mo suruma-mo tanda gasu-bari kaga-té

晩(バゲ)ネなれば沖(オギ)で亡者(モンジヤ)泣いでセ

Bagé-né naré-ba ogi-dé monja naï-dé-sé


☆☆☆


風(カジエ)ネ逆(サガ)らる旗(ハダ)

Kajé-né sagararu hada


檣の先コで ばためでる旗(ハダ)やエ

Hobashira-no saki-ko-dé batamé-dé-ru hada-yaé

いま俺(ワ) 生(マ)れだ町(マヅ)バ捨てで行(エ)ぐんだ

Ima wa maré-da madzu-ba suté-dé égu-n-da

雪溶(ユギド)げの風(カジエ)コア耳サ冷(ツブテ)ぐ

Yugidogé-no kajé-ko-a mimi-sa tsubutégu

葉コ無(ネ)い柳の枝コア岸ネ震(フレ)でらネ

Ha-ko nei yanagi-no éda-ko-a kishi-né furé-dé ra-né

ああ其處(ソゴ)ネだキヤ 見送(オグ)る人(フト)の影コも見(メ)ねし

Aa sogo-né-da-kya mioguru futo-no kagé-ko-mo mé-né-shi

遠ぐネ寺の屋根コア光(シカ)てらネ

Toogu-né téra-no yané-ko-a shika-té ra-né

ああ俺(ワ)生(マ)れだ町(マヅ)!

Aa wa maré-da madzu !

それだキヤもう狭苦(クラ)しぐなてまた搖籃(イツコ)だネ

Soré-da-kya mô hémakurashigu-na-té ma-ta itsuko-da-né

この愛想気(アイソケ)無(ネ)い町(マヅ)の顔(ツラ)バ見なガ

Kono aïsokénei madzu-no tsura-ba mi-na-ga

繼母(ママカガ)だキヤえネ嘲笑(アジヤワラ)てナ

Mamakaga-da-kya-né ajawara-té-na

ああ いまごそみんなバ捨(フ)てまるど思ふンどもなア

Aa ima-goso minna-ba fu-té maru-do omoü-n-domo-naa

ばためぐ旗(ハダ)やエ!

Batamégu hada-yaé

自分の指コバ切(モ)ぐえンたのア

Jibun-no yubi-ko-ba mogu enta-no-a

如何(ドシ)た気残りアあるやだバ

Do shi-ta kinogori aru-ya-daba


汽笛(ジヨウキ)ア鳴たジヤ

Jôki-a na-ta-ja

もうこれで みんな終(トツパ)たのせ

Mô koré-dé minna totsupa-ta-no-sé

舳(ヅグ)ア廻はたら生(マ)れだ町(マヅ)サ尻(ケツ)向げでまたネ

Dzugu-a mawa-tara maré-da madzu-sa kétsu mugé-dé ma-ta-né

沖(オギ)サ出はれバ風(カジエ)ア強(ツオ)ぐ

Ogi-sa déharé-ba kajé-a tsuogu

ああ ばためく旗(ハダ)やエ

Aa bataméku hada-yaé

ジヤワめぐ海サ

Jawamégu umi-sa

裂(ブチヤ)げで飛ばされでしまれ!

Butchagé-dé tobasa-ré-dé shimaré !


☆☆☆


煤けだ暦

Susuké-da koyomi


姉サ嫁ネなて去(エ)た日(シ)ア

Ané-sa yomé-né na-té é-ta shi-a

庭(ツボ)のぐみア真赤であたし

Tsubo-no gumi-a makka-dé a-ta-shi

母親(オガ)サ死ンで去(エ)た日(シ)ア

Oga-sa shin-dé é-ta shi-a

濡雪(ヌレユギ)ア降てゐだんだド

Nuréyugi-a fu-té i-da-nda-do

父親(オド)サ死ンで去(エ)たのア

Odo-sa shin-dé é-ta-no-a

屋根の氷(スガマ)コア溶(ト)げかがてゐた時(ドギ)だし

Yané-no sugama-ko-a togé-kaga-té i-ta dogi-da-shi

吾(ワ)ア家(エ)がら出ハてしまつた晩(バゲ)ア

Wa-a é-gara déha-té shimat-ta bagé-a

宵祭(ヨミヤ)の花火アあがてゐだネ

Yomiya-no hanabi-a aga-té i-da-né


☆☆☆


凶作(ケガズ)

Kégazu


いまネも雪(ユギ)ネなるえンたこの冷(ツブ)て雨、そしてこの瘠へだ稻。

Ima-némo yugi-né naru enta kono tsubuté amé, soshité kono yahé-da iné

そイでもウルセ雀共(スズメンド)バ石油罐ぶただいで追(ボ)ネバまいネンだネ。

Soïdémo urusé suzumé-ndo-ba sekiyukan butadai-dé o-né-ba maïné-n-da-né

海ア時化(シケ)でるどメで海猫(ゴメ)ア群(アヅバ)て來て啼いでるジヤ。

Umi-a shikédéru-do mé-dé gomé-a adzuba-té ki-té naï-dé-ru ja

親爺(オド)アガツホラどした顔(ツラ)して紡績(ボセキ)サ行た娘の手紙バリ讀ンでるし、

Odo-a gahhora-do shi-ta tsura shi-té boséki-sa é-ta ané-no tégami-bari yon-dé-ru-shi

母親(オガ)まだ畑(ハダケ)がら拾(フラ)てきた屑芋バ煮べどもても竃(ヘツツ)ア燃えネで燻(イプ)てグ

Oga mada hadaké-gara fura-té ki-ta kuzuimo-ba ni-bé-do mo-témo hettsu-a moé-né-dé iputégu

燐寸(トツケギ)だキヤもう無(ネ)んだジヤ

Totsukégi-da-kya mô né-n-da ja

煙(ケブ)あ家(エ)の中サ一杯(ペ)ネなて赤子(ビキ)アギーギーて泣ぐし、まンだかちやくちやネイ晩(バゲ)ネなるんだべネ。

Kébu-a é-no naka-sa ippé-né na-té biki-a giigii-té nagu-shi, manda katchakutchanei bagé-né naru-n-da-bé-né


☆☆☆


海猫(ゴメ)

Gomé


沖(オギ)ア時化(シケ)でホレ

Ogi-a shiké-dé horé

魚(ジヨジヨ)ア獲(ト)れネんだド

Jojo-a toré-né-n-da-do

母親(オガ)ドサ行(エ)たやだばシテ

Oga do-sa é-ta-ya-daba-shi-té

居間(ジヨイ)で赤子(オボコ)ア泣いでさネ

Joï-dé obo-ko-a naï-dé sa-né

らんぷコでもツケシネが

Ranpu-ko-démo tsuké-shiné-ga


☆☆☆


石コ

Ishi-ko


すねくれだ心だデア

Sunékuré-da kokoro-da-dé a

踏付(フンヅケ)られでも黙つてる石コ

Fundzuké-raré-démo damat-té-ru ishi-ko

じつとしてだら石コネなねべがな

Jitto shi-té-dara ishi-ko-né na-né-bé-gana

めめづわぐえンた流元(ミジヤノスリ)の暮し

Mémédzu wagu enta mijanosuri-no kurashi

俺(ワイ)バあの空サ向(ムゲ)で投げる奴(ヤヅ)アネベがな

Waï-ba ano sora-sa mugé-dé nagéru yadzu-a né-bé-gana


☆☆☆


吹雪(フギ)

Fugi


小共等(ワラハド)エ

Wara-hado-é

早(グ)ぐど寝でまれ

Gugu-do né-dé-maré


ほらア!

Horaa !

あれア白い狼(オウガメ)ア吼えで

Aré-a shiroï oogamé-a hoé-dé

驅(ハ)ケで步(ア)りてらンだド

Haké-dé ari-té ra-n-da-do

まぎの隅(スマ)がら

Magi-no suma-gara

死ンだ爺(ヂコ)ド媼(ババ) 睨めでるド

Shin-da dji-ko-do baba nagamé-dé ru-do


小共等(ワラハド)エ

Wara-hado-é

早(グ)ぐど寝でまれ

Gugu-do né-dé-maré


☆☆☆


夜明げ

Yoagé


立小便(タツシヨベ)の音(オド)ア母親(オガ)だべネ

Tatsushobé-no odo-a oga-da-bé-né

濃霧(ガス)の中(ナガ)がら父親(オド)ア

Gasu-no naga-gara odo-a

鱗(ウロゴ)だらけネなてもどて來たね

Urogo-daraké-né na-té modo-té ki-ta-né

大漁だド!

Taïryô-dado !


☆☆☆


彼女(アレ)アあの日(シ)ネ

Aré-a ano shi-né


木の芽(モエ)コ取(ト)ネ行(エ)た路(ケド)コ

Ki-no moé-ko to-né é-ta kédo-ko

其處(ソゴ)ネ山鳩(ヤマバド)コア啼いで居だキヤなア

Sogo-né yamabado-ko-a naï-dé i-da-kya-naa

蕗コ取(ト)ネ行(エ)タ澤コ

Fuki-ko to-né é-ta sawa-ko

其處(ソゴ)ネ郭鳥(カコドリ)啼いで居だキヤなア

Sogo-né kakodori naï-dé i-da-kya-naa


彼女(アレ)ア始(ハシ)めで返事(ヘンツ)コした川端(ヘギバダ)コネ

Aré-a hashimé-dé hentsu-ko shi-ta hégibada-ko-né

野茨(バラ)の匂(カマリ)コアして居だし

Bara-no kamari-ko-a shi-té i-da-shi

彼女(アレ)ア言ふごと聞えだ松林(マヅバヤシ)の中(ナガ)ネ

Aré-a iu-goto kié-da matsubayashi-no naga-né

鶸(シワ)コア啼いて居だキヤなア

Shiwa-ko-a naï-dé i-da-kya-naa


ああ こたらだごとア みんな消(ケ)ががてるいま

Aa kotara-da goto-a minna kégaga-té ru ima

東京(トウキヨ)の真中(マンナガ)でこの人通(フトド)り激し晩方ネ

Tôkyo-no mannaga-dé kono futodori hagéshi bankata-né

俺(ワ)ネつぐづぐどわがて來たのア

Wa-né tsugudzugu-do waga-té ki-ta-no-a

彼女(アレ)アあの日(シ)ネ あの林コがら歸(モド)る途中(トヂユウ)

Aré-a ano shi-né ano hayashi-ko-gara modoru todjû

たんぽぽの花コバふむつり

Tanpopo-no hana-ko-ba fumutsuri

ふむつり投げだ気持コだでばせナ

Fumutsuri nagé-da kimotchi-ko-dadé-basé-na


☆☆☆


苗代(ナシロ)の稻妻(イナピカリ)

Nashiro-no inapikari


蛙(ゲロ)ア啼いで苗代(ナシロ)サ稻妻(イナピカリ)ア光(シカ)て來たンども

Géro-a naï-dé nashiro-sa inapikari shika-té ki-ta-n-domo

彼女(アレ)ア未(マン)だ出はて來(キ)ねネ

Aré-a manda déha-té ki-né-né

終々(シメシメ)ネ雨ア降て來て俺(ワ)ジヨウジヨウどなてまたンども

Shiméshimé-né amé-a fu-té ki-té wa jôjô-do na-té ma-ta-n-domo

此處(コツ)から何時迄(イヅマンデ)も動(エゴ)ぎたぐねデア

Kok-kara idzu-mandé-mo égogi-tagu né-dé a


段々(ダンダ)と雨ア強(ツオ)ぐなて來たハデ

Danda-to amé-a tsuogu na-té ki-ta-hadé

蛙(ゲロ)も啼がなぐなてまたし

Géro-mo naga-nagu na-té ma-ta-shi

夜ア更けで來たどメデ

Yoru-a fuké-dé ki-ta-do mé-dé

彼女(アレ)の家(エ)の灯(アガシ)コも消(ケ)でまたデア

Aré-no é-no agashi-ko-mo ké-dé ma-ta-dé a


☆☆☆


生活(クラシ) ―結婚(シュウゲン)の晩(バゲ)―

Kurashi – Shûgen-no bagé –


あれア風(カジエ)ア吹いで

Aré-a kajé-a fui-dé

ドロの樹(ギ)アジヤワめでるんだネ

Doronogi-a jawamé-dé-ru-n-da-né

泣グな

Nagu-na

泣グな

Nagu-na

花嫁ア泣グ奴(ヤヅ)アあるガ

Hanayomé-a nagu yadzu-a aru-ga

銭(ジエン)コねはで泣グのガ

Jen-ko né-hadé nagu-no-ga

なんだて こした貧ボくせい結婚(シュウゲン)せねばまいねのガ

Nan-da-té ko shi-ta binbo kusei shûgen-se-né-ba maïné-no-ga

(みんな飯事(オフルメコ)だど思れ)

(Minna o-furumé-ko-da-do omoré)

痩へだ体コくつけでも

Yahé-da karada-ko kutsuké-démo

なんも温(ヌ)ぐぐねジヤ

Nanmo nugugu né ja

ああ 俺達(オラダヅ)二人ア

Aa ora-dadzu futari-a

日(シ)あだりぬすむ蠅コど同(オンナ)しだ

Shiadari nusumu haé-ko-do onashi-da

明日がらお前(メ)も紫(ムラサギ)の袴(ハガマ)コはいで黒いまんとコかぶて役所サ行(エ)グのガ

Asu-gara omé-mo murasagi-no hakama-ko haï-dé kuroi manto-ko kabu-té yakusho-sa égu-no-ga

貧ボ臭(クセ)い婿(ムゴ)ど花嫁だ

Binbo kusei mugo-do hanayomé-da

泣グな

Nagu-na

泣グな

Nagu-na

なんも恐(オカナ)グね

Nanmo okanagu né

あれア風(カジエ)ア吹いで

Aré-a kajé-a fui-dé

ドロの樹アジヤワめでるんだネ

Dokonogi-a jawamé-déru-n-da-né


☆☆☆


まるめろ ―ふぢア死ぬ時(ドギ)の夢―

Maruméro – Fudji-a shinu dogi-no yumé –

枯草の中の細い路(ケド)コ行たキア、泥濘(ガチャメギ)サまるめろア落(オヅ)でだオン。死ンだ従兄(イドゴ)アそこで握飯(ニギリママ)ば食てだオン。まるめろバ拾(フラ)ウどもても如何(ナンボ)しても拾(フラ)えネンだもの……

Karékusa-no naga-no hosoi kédo-ko i-ta-kya, gatchamégi-sa maruméro-a odzu-dé-da-on. Shin-da idogo-a soko-dé nigirimama-ba tabé-té-da-on. Maruméro-ba furaü-do mo-té-mo nanbo shi-té-mo furaé-né-n-da-mono……

ああ故郷(クニ)モいま雪(ユギ)ア降てるべなあ。

Aa kuni-mo ima yugi-a fu-té-ru-bé-naa